まりにっき

まりにっき、お引っ越し。

増殖するアンパンマン

 るらは保育園でアンパンマンを覚えてきた。
 けなげに「ぱんまん」と指差して目を輝かせるものだから、かわいらしくて、つい買ってしまったもんである(典型的な親バカ)。そしたら来る日も来る日も「ぱんまん」「ばまん」で、こんなに毎日同じぱんまんで飽きないのだろうかと思って、というか実は親が飽きて、買い足しを検討してしまう(ただのバカ)。
 最近スーパーに行った。ちょっと私が用事をすませてる間、パパはるらこうと遊んでておくれ、おもちゃ売り場でアンパンマンでもあれば見て買ってもいいから、と言い置いてしばしの別行動。
 この時点で私は、完全に事態をなめていた。正確には、「時代のうつりかわりをなめていた」というべきである。アンパンマンは、私の知っていたそれをはるかに超えて、増殖していたのだ!
 小一時間後、再会したとき、パパはどひゃーっとなっていた。「たいへんだったぁ」と。アンパンマン、そこいらじゅうにあふれていて、るらはだんだん興奮しちゃって、うおおっとおもちゃをひっつかみ、放り投げ、自分の感情に収拾がつかなくなってたらしい。結局ぱんまんグッズ2点お買い上げ(ボールと、ちいさいクルマ)。
 おもちゃ売り場だけじゃない。食品売り場をまわっても、チーズ、ウエハース、ジュース、いたるところにアンパンマンがいる。そのたびに「ぱんまん!」とつかみとられてちゃ進めない。完全に企業戦略に引っかかる家族の図である。かろうじて冷静なパパが「このチーズ、けっこう割高だよ」と押しとどめるが、私とるらの2人じゃ完全に買いモードだ。
 いつのまにこんな、アンパンマンにまみれているんだろう、この世界は!しょっちゅうパトロールされている。でもバイキンマンもたいていセットで出てきているから、職務はいつまでも終わらない。
 これはもしかして、企業戦略ではなくて、国家戦略ではないか。街にひそむ「犯罪予備軍」をあぶりだし照らし出す、日常的にいたるところにパトロールの目を光らせる、そうゆう国家戦略。
 …なんてことを言ってる間にも、ぱんまんは増殖し、るらは時々「あんぱんまん」とフルネームで呼べるようになってきた。そして親は、アンパンマンバイキンマンドキンちゃんカレーパンマンに続き、メロンパンナちゃんを上手に描けるよう練習しているのである。

twicky: ミュージアム!
 いつのまにアンパンマンがこんな増殖したんだろう、少なくとも私が子どもだった頃は…っていつの話しとんねん、と調べてみようと試みる。結局まだわかんないんだけど(本当は私の子ども時代からそうだったのかもしれないけど)、そんなこんなのうちに、横浜アンパンマンこどもミュージアムという場所があることを知ってしまった。
 こんな、こんなとこに連れてったら、興奮のあまり、心臓止まるで、まじで。